• Noguchi, Y., & Kakigi, R. (2005). Neural mechanisms of visual backward masking revealed by high temporal resolution imaging of human brain. Neuroimage, 27, 178-187.

・逆向マスキングは視覚的アウェアネスを調べるのに適している.
・ヒトではアウェアネスと相関する賦活を示す部位はLO,サルではマスクによる視認性低下はITニューロンの応答変化を生じる.応答変化には2タイプあり,1) スパイク頻度の減少,2) マスク応答によるターゲット応答の中断.
 →時間解像度が低いfMRIでは2つを分離できないので,高時間解像度のMEGを使用.高次視覚野の応答だけを取り出すためにRDB (random dot blinking) methodを使用.
Results
・単調増加マスキング関数(パターンマスキングだったので).
・TGT or MSK条件の結果から,dipoleはfusiform近傍に推定.
・正答率が低下するほど,ピーク振幅とピーク潜時がともに減少.特に,ピーク振幅は視認性と正の相関.
Discussion
・ピーク振幅減少はフィードフォワード抑制モデルに一致,ピーク潜時減少は中断理論に一致.
<コメント>

  • ISI300条件からMSK条件を引いた波形がTGT条件の波形に類似していることをもって,単純な減算によるtarget応答推定が妥当であるとしている(ような気がする)が,ISI300ではT-Mが離れているから相互作用がないだけであって,ISI0やISI150ではT-M間に双方向の相互作用(T→Mのフォワードマスキングも含む)があるはずだから,単純な減算はどうかと思ったりもする.ただ,後続刺激の応答の方が強力だろうから,結果にそうは影響しない気もする.
  • フィードフォワードの話しかしないのはなぜ?RDB method使用によってV1応答がほとんどないから?


  • Vidal, J. R., Gauchou, H. L., Tallon-Baudry, C., & O'Regan, J. K. (2005). Relational information in visual short-term memory: The structural gist. Journal of Vision, 5, 244-256.

研究会で紹介してもらった論文.
・change detectionタスク.位置は固定したまま,ディストラクタの特徴が変化する時と変化しない時でパフォーマンスを比較.
※タスクと同じ次元でのディストラクタ変化(例えば,ターゲット色変化検出課題でディストラクタ色が変化)はパフォーマンスを阻害するが,タスクと異なる次元でのディストラクタ変化(例えば,ターゲット色変化検出課題でディストラクタ形態が変化)はパフォーマンスを阻害しない.
※change detectionを行うべきアイテムだけにattendして,その他は無視してもよい状況.unattendedアイテム群の特徴をタスクと同じ次元で変化する場合としない場合を比較.たとえ空間的な選択的注意が向けられていないアイテムであっても,タスクと同じ次元で特徴変化する限り,パフォーマンスに影響する.
※relational informationが重要.おそらくタスクと異なる次元の変化は影響しないことから,feature-basedと主張しているっぽい.
<コメント>

  • 同じ位置で特徴を交換すればいいと思うけど,それじゃ特徴変化と位置変化が交絡するからダメか.新たな位置や特徴が出現する限り,ノイズによる説明可能性を免れない気もする(もちろんタスク関連次元での話).
  • Exp5,6,8だけなら非常に美しい話になるだろうに.こねくりまわしていて変.
  • 異なる特徴次元の変化が影響しないことをもって,feature-basedの証拠にはなり得ないと思う.Wheeler and Treisman (2002) が何て言ってるのか良くわかんないけど,feature毎にストアがあって,その都度attentionでbindして取り出すというのはどうかと?feature毎に処理されていて,意識的に報告できる状態に維持するのがattentionの役割で,その限界が3-4個なんでしょう(Wheeler & Treisman (2002) もこう言ってるのか?).だから,feature-basedというよりもobject-basedな感じがするけど….illusory conjunctionなんかは,feature毎に貯蔵されているものを取り出してくる時のbinding errorではなく,すでにmisbindした状態で維持してしまっているんだろうか?意識的に報告できるものだけがパフォーマンスに影響するわけではなく,タスク関連次元の情報はunattendedな状態でも影響するということなんだろう(Block (2005) の言うAccess ConsciousnessとPhenomenal Consciousnessみたいな切り分けか?).
  • 空間的な選択的注意(フィルタ)よりもタスクセット(フィルタ)の方が上位に来るということか.