• Rauschenberger, R., & Yantis, S. (2001). Attentional capture by globally defined objects. Perception & Psychophysics, 63, 1250-1261.

・新たな知覚的オブジェクトが注意を捕捉する (Yantis & Jonides, 1984) 一方で,ある位置にあらかじめ注意を焦点化していれば注意捕捉は生じない (Yantis & Jonides, 1990).
ボトムアップ信号を無視することが適応的なのは,この信号が生態学的に重要な情報を伝達しない場合のみである.
※たとえ行動目標に矛盾しようとも,globalなレベルの新たなオブジェクトに注意を向けることは適応的である.
Experiment1
2×4に配置されたプレースホルダーのうち,1個はsemi-diskに,7個はpacmanになる.タスクは前もって定義されたターゲットsemi-diskの有無を早押し.Kanizsa squareがinduceされる場合がある (left/center/right).
→globalオブジェクトがcenterにオンセットする場合にのみ,RT増加し,注意捕捉.周辺で注意捕捉が生じないのは,偏心度増加でそもそもKanizsa squareがあまり見えてないのでは?
Experiment2
Kanizsa squareをinduceしない輪郭線pacmanを使用.
→注意捕捉認められず.Exp1の結果は,localなアイテム配置 (symmetry) とかに帰されない.
Experiment3
Kanizsa squareの単なる存在が,「新しさ」をともなわずともRT遅延を生じた可能性(ディスプレイを真ん中で分断して注意シフトを遅延させるとか)を否定するため,プレースホルダーの時点でKanizsa squareをプレビューするold条件も含める.
→Kanizsa squareは「新しい」場合にのみ注意を捕捉(「古い」とむしろ促進).
Experiment4
注意がglobalなレベルに向けられている場合に,localなレベルの新たなオブジェクトが注意を捕捉するとは考えにくい.タスクはKanizsa triangleの向きを同定.localなレベルで新たなアイテムがオンセットする.
→注意捕捉認められず.localとglobalの非対称性(global precedence effectみたいなもん).
Experiment5
Exp4のlocalアイテムがタスクのレベルに関係なく注意を捕捉する力を持たなかった可能性を否定する.Exp1,3っぽい感じで従来のattentional captureっぽい実験.ただし,abrupt onsetアイテムは決してターゲットではない.
→localなレベルの新たなアイテムは,localなレベルのタスクであれば,注意を捕捉する.
General Discussion
※視覚系は,注意が現在従事しているレベルよりもglobalなレベルで生じる突然の変化に対してsensitiveである.
・attentional setの一部でもなく,決してターゲットとなり得ないKanizsa figureが注意を捕捉したことから,注意捕捉生じるためにトップダウンのattentional setとボトムアップの刺激特徴が一致する必要性 (Folk et al., 1992, 1993) やno-onsetアイテムに対する順向マスキングによる説明 (Gibson, 1996a, 1996b) を否定.
・主観的図形と結びついた明るさ促進は高次filling-inの結果であるため,luminance-increment説よりもnew-object説を支持といってもよかろう.
<コメント>
ところどころに意味不明な操作がある気がする.Exp3でこれまでのmixedからblockedとか.Exp3のold条件でfacilitationが見られることからすると,no-onsetの時にはcenterにもターゲットが出現する可能性があるんでは?読み落としかもしれんが.でも,生態学的な話のあたりとかは結構面白く読めた.