風邪ひいたかな?

 タイトルの通りだが,ちょっと前から胸のあたりにつっかえがある.気管支がおかしい.でも咳をしてもひっかからない感じなのでイライラする.
 研究会で既読の論文の発表を聴く.欠席しようかとも思ったが,それは悪いので出た.出ることでいろいろと考えることにつながったので,結果として良かった.

  • Sack et al. (in press, Neuroimage) 論文についてメモ

 研究会の途中で思いついたことだが,Beckers and Hömberg (1992) およびBeckers and Zeki (1995) で認められた0ms近傍とHotson et al. (1994) で認められた100-150msでの運動知覚阻害の不一致に関して.Sack et al. の中で,Ffytche et al. (1995) では高速刺激に対してはV5の応答潜時が早く,低速刺激に対しては潜時がもっと遅いことから,皮質下経路とV1を介した皮質経路の2つでタイミングの違いを説明できる可能性があるものの,実際にBeckersらの用いた刺激とSack et al.の刺激に速度差はそれほどなかったため,速度差ではタイミングの違いを説明できないことについて触れられている.また,Sack et al.では,BeckersらとHotson et al. (1994) に比べてBeckersらの用いた刺激がより小さなウィンドウでより周辺に呈示されていることが原因かもしれないが,それでタイミングに差が生じるということはありそうにないとも述べられている.
→ところが,刺激が高速,周辺に呈示された小さなウィンドウということを考えると,運動方向判断自体が困難になる状況ではsubcortical pathwayに依存することで阻害のcritical periodが早くなるのではないかと考えた(blindsightみたいなもん).だが,Beckersらのデータを改めて見直したところ,ベースラインのパフォーマンスが非常に高い(というかほとんど100%).したがって,blindsight-likeな現象が生じている可能性はまずないと思われる.
 よくよくBeckers and Hömberg (1992) のデータを見ると,100-150msあたりでもわずかに低下している(ベースラインがほぼ100%なせいで天井にcompressされて差が明瞭じゃない).0ms近傍でのパフォーマンス低下が異常(チャンスレベルまで完全に低下)なので,later period (100-150ms) に注目していない.それもあって,Beckers and Zeki (1995) では100msまでしかデータを取っていない.
→ベースラインではほとんど100%のパフォーマンスがsingle-pulse TMSでチャンスレベルまで一気に落ち込むなどということはまず考えられない.したがって,0ms近傍の落ち込みはreflex blinkingじゃないかと思う.きっとそもそも刺激が見えてないんだろう.とは言ったものの,0ms近傍での落ち込みが被刺激半球の対側半視野に呈示された刺激に限定して認められるため,よくわかんない.blinkingなら視野に関わらずnon-specificな阻害効果が認められるはずだし.片側半球に施行したTMSによって誘発されたblinkによって,対側視野の刺激だけが見えなくなるなんてことがあり得るのか???

  • ちょっとメモ

ずいぶん前にディスカッションしていてこれは!と思ったことをすっかり忘れていて,最近また思い出したのでメモ.
「脳の階層的構造について:みんな前にいるヒト(低次皮質)の背中しか見えないようなもんなのかもしれない」