• Visser, T. A. W., Bischof, W. F., & Di Lollo, V. (2004). Rapid serial visual distraction: Task-irrelevant items can produce an attentional blink. Perception & Psychophysics, 66, 1418-1432.

・Ward et al. (1997) はskeletal RSVP(ディストラクタなし)でもABが生じることを示したが,RSVPパラダイムでのディストラクタがABのタイムコースや大きさに影響しないことを意味するわけではない.
→two-targetパラダイム (Duncan et al., 1994) とそれに中央のタスク無関連RSVPを加えたパラダイムを比較して,ABにおけるcontingent captureの効果を調べる.
Experiment 1-5
・letterターゲット,digitマスクのtwo-targetパラダイムで中心にdigitディストラクRSVPを呈示するとパフォーマンス低下 (Exp 1A).
・ターゲットも中央に呈示して,通常のRSVPとskeletal RSVPを比較しても,ディストラクタによってパフォーマンス低下→spatial shiftではない (Exp 1B).
・(これ以降はまたターゲットは周辺呈示に戻す)ディストラクタをletterにしてターゲットと全く同じカテゴリーにするとパフォーマンス低下が激しい (Exp 2).
・letterターゲットでディストラクタをno/random dots/digits/pseudolettersで操作→T1,T2ともにターゲット-ディストラクタ類似度が増加するほどパフォーマンスが低下 (Exp 3).
・ターゲットをdigitにして結果を一般化 (Exp 4).
フランカー効果が消失する距離 (3°) にターゲットを呈示してもターゲット-ディストラクタ類似度の効果は残存→フランカー干渉ではなくcontingent capture (Exp 5).
General Discussion
・dynamic input filteringモデル (Visser et al., 1999; Ghorashi et al., 2003) で説明可能.ただし,2-stageモデルでもinterference説でも同じ説明ができる.
→今回の寄与は,ABモデルの区別ではなく,あくまでABとcontingent captureにおけるディストラクタの役割を結びつけたこと.
<コメント>
何がABなんだかよくわかんなくなってきた.spatial switchとかcontingent captureとか除いた純粋なABを抽出するにはskeletal RSVPがいいってこと?


  • Chua, F. K. (2005). The effect of target contrast on the attentional blink. Perception & Psychophysics, 67, 770-788.

・ABはT1からT2へのattention shiftの問題として捉えることが可能である.
→ターゲットのコントラストがABに及ぼす影響を調べる.
Experiment 1-5
・高コントラストのターゲットはより正確に同定され (Exp1, 2, 4, 5),より速く検出される (Exp2B).
T1コントラストの増加はABを増大させる(T2パフォーマンスを低下させる).これは,注意が外発的にengageされても (Exp1) 内発的にengageされても (Exp2) 当てはまる.T1直後に挿入されたblankは,T1コントラストが低い場合にのみANを消失させ,T1コントラストが高い場合にはABが残存する (Exp5).
T2コントラストが増加するとパフォーマンスが向上する (Exp3).コントラストT1によるdwell timeの増加は,高コントラストT2によるマスキングからのprotectionに補償される (Exp4).
General Discussion
コントラストが高いほど応答潜時が速いことを考慮すると,T1コントラストが高いほどdisengagementが早くなり,ABが小さくなると予測していたが,実際には逆にABが大きくなった.
コントラストが高いほど感覚応答関数 (sensory response function) が広くなり,長く持続する.したがって,当該ターゲットの処理は促進されるが,注意のdisengagementが遅れるために後続ターゲットの処理は阻害される.
<コメント>
同輩によるT1あるいはT2の感情価(最近は感情価というよりも覚醒レベルに起因するという論文が多いようだ,というかそちらが優勢らしい)を操作した実験結果に酷似.結局はsalientな刺激は,いったん注意を捕捉したらしばらくは離さないということか….


  • Olivers, C. N. L., & Nieuwenhuis, S. (2005). The beneficial effect of concurrent task-irrelevant mental activity on temporal attention. Psychological Science, 16, 265-269.

自由連想 (free-association) や音楽聴取 (listen-to-music) といった無関連課題の同時遂行によってABが大幅に減少する.これはT1とのトレードオフではない.報酬 (reward) ではパフォーマンスは向上しない.
Discussion
・arousalの上昇あるいは低下が関係?
・(特に休日に関する自由連想では)ポジティブな感情が喚起されたためにパフォーマンスが向上?
※付加的タスクによって注意が広がり,T2も処理できたのではないか?
<コメント>
タスクに集中しすぎることで,T1からのdisengagementが遅れるということか.未読だが,Kessler et al. (2005, Neuroimage) のDiscussionにもこの論文が引用されており,そのようなことが書いてあるようだ.