学会?

学会という名はついてるが,はっきり言ってワークショップでしょ,というものに一応参加してきた.そこでchange detection絡みの発表を聞いていて思ったこと,というか昨日Davis & Holmes (2005, Memory & Cognition) を読んでいたからこそ感じたことをメモ.
Luck & Vogel (1997) はVSTMのユニットがオブジェクト(特に特徴毎の別個のストアがあるとしても説明できないcolor-color conjunctionが重要),Wheeler & Treisman (2002) はcolor-color conjunctionの結果が追試できずにVSTMユニットが特徴であるとした(うろ覚え).ところが,Wheeler & Treisman (2002) のロジックが成立するためには,bi-colored squareが単一オブジェクトとして表象されていることを確認する必要がある.本当はオブジェクトがユニットなんだけど,Luck & Vogel (1997) ではbi-colored squareが単一オブジェクトとして表象されており,Wheeler & Treisman (2002) では二つの別のオブジェクト(ある正方形の上に別の正方形が重なっている)として表象されているだけかもしれない.確認しようのないことかもしれないけど.
何個覚えられるとかあんまり意味はないと思うけど(こんなこと言ったら元も子もない…).だいたい,日常生活から感じるに,オブジェクトベースでしょう.ただ,オブジェクトの一部の特徴がちょっと変わるだなんて意地悪なことは(実験室状況でない限り)日常場面では起こりえないだろうし,だからこそ,そこまでのfidelityでオブジェクトを表象する必要がないと思うのです.ま,オブジェクト(あるいは特徴)にして何個相当の情報を保持できるというのなら分からないでもない(Alvarez & Cavanagh (2004) なんかはそういう感じなんだろうか).
書き始めてみたらいろいろと書きたいことはあるけど,ややこしいからやめておいて,あと一つだけ.よく私の所属する研究室のみなさんとの話で出てくることだが,はっきり言って,change detectionで測る容量など課題を難しくしてやればなんぼでも推定容量を小さくできる.sameって答えたら,「はい,ブブー.1pixel欠けてましたからdifferent」とか言われてもね…(これなら1個すらできませんぜ).というわけで,容量を既報告よりも小さく見積もりたい研究は全くナンセンスであり,むしろ,どれだけ簡単にしてもいくつまでしかできないのかという方が実りはある(これもどうかとは思うけど).
何の課題にでも相当することだが,結局はある課題がどれだけの情報を必要とするかということが大事なわけなんだろうな.detectionはできるけどidentificationはできないとか,とか,とか….



研究室への帰り道,同輩と今後の身の振り方について話し合ったり.ま,お互いに頑張りましょう,ということです.